Molecular Physical Chemistry

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平成19年12月3日(月)のNature Materialsオンライン版に論文が発表されました。

Thermochromism in an Organic Crystal Based on the Co-existence of s- and p-Dimers

Morita, Y.; Suzuki, S.; Fukui, K.; Nakazawa, S.; Kitagawa, H.; Kishida, H.; Okamoto, H.; Naito, A.; Sekine, A.; Ohashi, Y.; Shiro, M.; Sasaki, K.; Shiomi, D.; Sato, K.; Takui, T.; Nakasuji, K. (森田 靖、鈴木修一、福井晃三、中澤重顕、北川 宏、岸田英夫、岡本 博、内藤 晶、関根あき子、大橋裕二、城 始勇、佐々木勝成、塩見大輔、佐藤和信、工位武治、中筋一弘)

Nature Materials.doi:10.1038/nmat206

論文概要: 氷点下173℃から+157℃まで、330℃という幅広い温度範囲で連続的な単色色調変化と偏光特性を持つ有機ラジカルの合成に、大阪大学大学院理学研究科の森田靖准教授と大阪市立大学の工位武治特任教授を中心とした研究チームが世界で初めて成功した。有機ラジカルは一般的には不安定な化学種であり、空気中で扱うと瞬時に分解してしまう。研究チームは、有機ラジカルの安定化に長年取り組み、従来まったく未知であった電子的な特徴を有する安定な有機ラジカル群を合成してきた。今回の発見は、1種類の有機ラジカル分子から成る結晶中に異なる2種類の集合構造体(σ結合性二量体とπ結合性二量体)を構築することで初めて実現できた性質である。π型二量体間の電子遷移は、二量体間軸に平行な方向の偏光のみを吸収することで濃緑色を示し、二量体間軸に垂直な偏光の場合は、無色透明である。従ってこの単結晶は、単色(緑色)の連続的な色調変化と偏光特性を幅広い温度領域で合わせ持っている。このような性質の実現、及び結晶工学的な分子設計・構築も、世界で初めてのことであり、安定な有機ラジカルの特異な量子性に着目して実現できたものである。
研究成果の産業的応用可能性: この有機ラジカル結晶が有する機能は、広い温度範囲をカバーできる極微小の光学的温度センサーに応用できる。また、偏光特性も活用することで、偏光板の色補償、偏光出力光の補償等への応用も可能であり、高性能液晶ディスプレイや新しい光デバイス実現に道を開く成果として注目される。フィルム媒体にも分散することができ、外気温に敏感に感応して緑青色の色調を変化させるエコ仕様の保温窓ガラスなどへも応用できる。

この研究成果は、平成19年11月26日付の日本経済新聞で報道されました。[新聞記事]